真夏の白昼夢

俺の言葉は二人の空間にポツリと響いた。

ナツキはまた目を伏せ、ふるふると小さく首を振る。


「ダメよ。できない」

「どうして?」


俺の問い掛けに、ナツキは小さくため息をつく。


「他人を一生養うつもり?」


その“他人”という言葉が俺の胸をきつく絞める。

負けそうになるけど、俺は続ける。

怖いけど、自信はないけど。今言わなくちゃダメだ。


「なら……ずっと俺の恋人で居てよ」


ナツキは眉を寄せ、遠慮がちな目をむけた。

そしてハッキリと言ったんだ。


「無理よ。あたしはもう恋をしないの」
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