真夏の白昼夢
ズンと空気の重みが増した気がした。
混乱する頭の中で、かける声を探す俺。
ナツキがふっと笑う。
「嘘だよ」
その笑顔が力無く見えるのは、俺の気のせいなのかな。
「ちょっとした失恋。みっともなく引きずってるの」
照れたように笑うナツキの目が、悲しそうに見えるのは気のせいなのかな。
俺はそれ以上聞かなかった。
ナツキを傷つけると思ったから。
だけど心の反対側では、俺がナツキの引っ掛かりを取り除いてやりたいと思っていた。
もうこんな野良猫みたいな生活はやめさせたかった。