真夏の白昼夢

細くて白い腕が俺の腕をギュッと締め付ける。

香水だろうか。シトラスの香りがふんわりと香る。

笑うとわずかに垂れる目尻が、正直可愛いと思った。


「君、からかってるの?」

「ううん、本気よ。お金もあんまりないから、宿借りれなくて困ってるの」



俺はどうかしている。

酔ってないつもりだったけど、実はアルコールが回っていたのか?

どれほど考えを巡らせても仕方ない。

もう遅い。


「へえ、綺麗にしてるのね」


俺はコンビニの前で女を拾ってしまったのだ。

ペット禁止のマンションだけど犬や猫よりタチが悪い。

ただ見た目は、とびきりのイイ女。
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