真夏の白昼夢
時折漏れる二人の吐息に混じって香るシトラス。
俺はその匂いに酔いしれそうになる。
むさぼるみたいにナツキの唇に吸い付くと、ナツキもそれに応えてくる。
めちゃめちゃにしたい。
全部俺のものにしたい。
ナツキの全部が欲しい。
だけど俺はその先には進めない。
躊躇してしまう。
契約する前だけど、一度断られているし。
ナツキのこと、何も知らないままだし。
そんな俺の思いを知ってか知らずか、ナツキは熱を帯びた瞳で見てくる。
俺は曖昧に笑ってごまかした。