真夏の白昼夢
ナツキは黙って俺の腕の中に収まっている。
その艶やかな髪はまだ少し湿っていた。
「上手く言えないけど。君に会えて良かったよ」
ナツキは何も言わない。
俺は少しその言葉を後悔した。
だってまるで別れの言葉みたいだから。
ナツキとの別れを受け入れてしまっているようで嫌だった。
残された一日。
俺は思い切り恋人らしく過ごそうと決めていた。
そしてあわよくば、ナツキにこのまま居て貰いたい。
俺の気持ちを知ってか知らずか、ナツキは静かに寝息をたてはじめた。