真夏の白昼夢

女はまるで自分の部屋みたいに、ソファーに座ってテレビをつけた。

普段の居場所を横取りされた俺は、仕方なくローテーブルのわきに腰掛ける。


「俺が断ってたらどうするつもりだったのさ」

「野宿かな」


それを聞いて目を丸くする俺。

女が野宿だなんて、しかもこんなに肌を露出した女が。危険すぎる。

そんな俺を見て女はケラケラと笑う。


「嘘よ。他の男の人を捕まえるつもりだった。色じかけでも何でもしてね」


それはそれで危険だ。

そしてその色じかけとやらを披露する前に捕まった俺は、きっと馬鹿の付くお人よしなのだろう。
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