真夏の白昼夢
噴水の噴き上げられた水に、太陽の光が煌めく。
小さな女の子が、大型犬と戯れている。
ナツキは広げっぱなしだった弁当箱を、黙って片していった。
その横顔にぽつりと問い掛ける。
「前に話していた婚約者のこと?」
ナツキは手を止め、小さく頷く。
その頷きと同時に、俺の心には嫉妬の鉛が落とされた。
ぐっと胸を掴んでなだめようとする。
「もう居ないって言ってたよね」
またこくりと頷くナツキ。
「まだ愛してるの?」
顔をあげたナツキは、悲しそうに微笑んだ。