リューベル王物語
ピノアが泣き虫なのは、
いつものことだったが、
リクはピノアに泣かれると
必ず困ってしまった。
ピノアが泣く原因は、
たいていリクが作っていた。
意地悪したり、
待ってあげなかったり、
「しょうぶ」をしてリクが勝ってしまったり……
でも、
今ピノアが泣いているのはリクのせいではない。
そのことが、
リクの心に何をもたらしたかは定かではないけれども、
気が付いたらリクは、
ピノアの頭を優しくなでてやっていた。
こんなことするなんて、
まるでピノアのお母さんみたいだ、
と思いながら、
リクが頭をなでていると、
「リク……あり…がとう……」
とひっくひっく泣きながら
ピノアが言った。
「もう……大丈夫だ。ピノアのことは、ちゃんと、おれが守ってやるから。」
「うん……」
そのときピノアは、
もう泣きやむこともできたけど、
リクに頭をいつまでもなでてもらいたくて、
しばらく泣き続けていた。