リューベル王物語


気づいた男達は、


腰から警棒のようなものを手にとって構える。



リクは突進しながら、


三人のうちの一人が構えに遅れを取ったのを見た。



その男めがけて、


大きくジャンプしクワを打ち下ろす。


すぐさま振り返り、


残りの男二人に対した。


「ぐあああっ!」


リクがクワで打った男は


左の肩を押さえてのたうち回っている。


クワの歯が、男の肩口を割いた手応えがリクの手に残っている。


肉は深くえぐれ、骨も折れているだろう。



残りの二人は、


リクを左右から取り囲むように


間合いを取った。



アカデミーでは、


剣術武術は必須科目である。



その中でも、リクは無敵に近かった。



そうだ、


ティアに勝っているものが


チェス以外にもあったじゃないか。



そう思ってリクは内心で笑っていた。


リクにとって


「実戦」


は初の体験であるはずなのに、


こんなに落ち着いているということが


自分でも不思議だった。



得体の知れない二人の男に囲まれてはいるが、


恐怖よりも、


闘いそのものを楽しんでいるようだった。



< 27 / 38 >

この作品をシェア

pagetop