リューベル王物語
そのとき、
「何事だ!」
と言って二人の衛兵が駆けてきた。
黒い男達は、
手負いの男を背負って、
逃げて行く。
追いかけようとするリクの目の前で
小爆発が起きる。
煙幕だ。
古典的だが、
効果的な逃げ方である。
「あ!リクさま!何があったのですか?」
衛兵二人はリクを見て慌てていた。
賊を追い払う、
あるいは捕らえることは、
衛兵の仕事であって
リクの本分ではない。
恐縮しきる衛兵に、
リクは簡単な経緯を説明して、
帰ることにした。
一人で帰ろうとするリクを、
衛兵たちが
護衛すると言って聞かなかったので、
させるに任せた。
護衛付きで帰宅したリクを見て、
母親は仰天し、
父親はにやにやしていた。