リューベル王物語
「ぼくなら使用人の通用門を通ります。庭師や物売りにでも変装すれば難なく入れます」
これにはコウキもエドワードも苦笑してしまう。
その通りだからだ。
リクはさらに続ける。
「だから、
あいつらはこの国の人間で、
なおかつ今の体制もしくは王宮の特定の人間に不満を持つ人間です。
ところが綿密な計画性に乏しく、
あるいは突発的な行動なのかもしれない。
自信のなさは、
あれだけの装備しか持っていなかったにもかかわらず、
逃走用の煙幕だけは準備していたことにも現れていると思います。
ずばり、
士官学校の生徒なのではないでしょうか」
これを聞いて、
この国の外務大臣補佐官と内務大臣は顔を見合わせてにやりと笑う。
この若者、
まずまずの洞察力を持っているじゃないか。
さすが、
アカデミーをあれだけの成績で卒業するだけのことはある。
「士官学校と予想するところが、愉快ではないか」
嬉しそうに言うエドワードに、コウキが答えた。
「だとしたら、左派の仕業というのが、濃厚ですかね。」