リューベル王物語
「よいか!」
フズナの一声に、若者達はピンと背筋を伸ばし直す。
「われら同胞の掟に従えばだな。おのれらは、計画の妨げになる行動をとったことになる。この意味が分かるな」
フズナは3人を見回して、包帯を巻いている青年をくるみ割り器で指す。
「おまえ、言うてみよ」
指名された青年は喉仏をごくりと動かし、額に汗を垂らす。
「し……信条8……け……計画を妨げし者は……これをは……は……破門すべし。であります」
若者達はすっかり青ざめてしまっている。
フズナは、老獪な微笑をたたえながら、おびえる若者達を見ている。
猛獣が小さき兎を弄ぶが如き風情である。
「そうさな……おぬしらは確かに計画を妨げた。しかし、その行為は同胞のためという心根からきておる。さすれば、その罪は罰をもって償えば酌量の余地がなきにしもあらず。ただ、それもわしの一存では決められぬ。おぬしらの処遇は上にお伺いをたてた後に、決定が下されるであろう。わしとしては、温情のある計らいのあるよう働いてみるが、それでも破門となりしときは、諦めよ。わしとて上には逆らえぬ。分かったら、行け」