先生、執事、不良、幼なじみ、俺様……えーと、後なんだっけ。
俺様キャラの腎臓にひとしきりダメージを与え、追い払った。
「…………ふと、思ったんだけど。『不良は私』って、オチかなぁ」
そう思うと、妙にやるせなかった。
まったく。
私は、こぅ、なんて言うか、一般的がいいわけなのよね、うん。
イケメンとの恋とか、確かに憧れはするけど、
なんか違う。
憧れや夢は、努力した結果として手に入れたい。
こんな反則みたいなのは嫌だ。
「……………」
など、と少し真面目なことを考えていたら、妙なものが視界の端をよぎった。
「……………」
ガムテでぐるぐる巻きにされた段ボールが二足歩行で、こちらに迫って来ていた。
前がよく見えていないのか、ふらふらと歩いてくる。
よくここまで追ってこれたな。
涙ぐましい努力だ。
「………ねぇ、執事」
「はい、なんでしょう?由香様」
そういえば、今日は乾燥注意報が出てるんだっけ。
「あそこの角を曲がったところにコンビニがあるから」
先生。
その努力、認めます。
「ライター買ってきて」