ホットレモンの憂鬱
四角い黄色のテーブルの前に座り込んでいた真愛が上に顔を上げ見回す。
「とりあえず…、みんな座ったら?」
俺に目を合わさないように、ぎこちない口調でそう言った。
立ち込める湯気からは美味しそうな香りを放つ、心の真まであったまりそうなチゲ鍋が踊る。
服の袖を捲り、上島と修と自分の分を器に盛る真愛。
…俺のは、やってくれないわけね。
自分でやれってか。
「そうだ!修!?クリスマスに合コンしない?別れたんならいいしょ?」
唐突に叫び声を上げ、持っていた箸を顔の横でせわしなく動かす。
「おっ、いいなそれっ!イブかその前の日がいいかも」
「じゃあ、場所はバイト先でいいね?二次会はカラオケ。決まり!5人くらい揃えるから、いい男連れて来てね」
「任せろよっ」
意気投合した2人は、ああでもないと打ち合わせし始める。
そこに、黙りこくっていた真愛が小さな声で問い掛ける。
「それ…、私も参加していいの?」
…はぁ!?
何でっ!?
「え…?まっち?合コンだよ?わかってんの?」
上島が目をひんむけて真愛の腕を掴む。
「わかってるよ。行ったことないから参加してみたいなーって…」
「だけど…」
上島は助けを求めるかの様に眉間に皺を寄せ、ちらっと俺に視線を向けた。
…俺にどうしろと?