ホットレモンの憂鬱

付き合って10日。

クリスマスにどっか行こうかと、真愛と話しながら通用口を出た俺達を、待ち構える黒い影。


「だからさ、好きじゃないんだって。毎日、俺の前に現れんなよ。欝陶しいから」

「付き合ってくれてたのにぃっ!嘘だったのぉ!何で、この子よりあたしの方が綺麗じゃない~っ!」

「触るな!」

俺の腕にしがみついて、泣きわめく香水臭いムカつく女。


この10日間、毎日、毎日ストーカーの様に待ち伏せされていた。

「嘘つきっ!大樹は誰でもいいんだ?」

…何なんだよ、ったく。

訳わかんねーよ。


「誰とでも寝るんだ?」

と、ふざけたことをぬかす女。


な、バカかこいつ。

誰とでも寝るとか…、有り得ない。


「彼女も弄ばれて終わりだね?可哀相~。あたしもう大樹と別れるから。じゃあね」

と、言いたいことをわめき立てて去って行く。


言い逃げかよっ!

勝手なこと言いやがってよ。


俺の横で、悲しそうに肩をすぼめて小さくなる彼女。


どうしてくれんだよっ!


明らかに、誤解してんじゃん…。

真愛の部屋があるのは5階だけど。って、今はそれどころじゃない。
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