ホットレモンの憂鬱

「…だから、違うんだって」

「わかったってば!もう、しつこいっ」

クッションに顔を埋め、部屋に帰ってからずっとこんな調子。


「じゃあ、何で目合わせてくれないんだよ…」

「見たくないから」

「だから、わかってないじゃん。あの女が勝手に言ってんだから、気にすんなって」

「だから、わかってるってば!誰とでも寝るくせに、私とは無理なんでしょ…。弄ぶ気にもなれないんでしょ…」


今…、何だって?


「私のこと好きじゃないんでしょ?」

泣いてるのか肩を小刻みに震わして、悲しい言葉を投げ付ける。


チクッ…。

塞がったと思っていた傷口が裂ける。


何でそんなこと…。


「真愛が好きだって言ってる俺のこと…、信用出来ないの…?」

「あの人、毎日…大樹のこと待ってて…見る度に…ずるいって…。違うって言われても…ック…私は知らないのにっ…大樹の全てを知ってる…って…ッ、思ったら…辛いっ…信用…ック…出来ない…」
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