ホットレモンの憂鬱
最後に、別れたいって。
涙を一杯目に溜めて、俺を突き飛ばし部屋から出て行った真愛を、追いかける余裕なんて。
…何処にもなかった。
すでに、縫い口はこれでもかと言わんばかりに引き裂かれ。
ドクンッと激しい痛み。
胸の奥から熱い何かが溢れ出す。
ベッドに伏せる俺の頭の中で、最後の台詞がぐるぐるといつまでも響き渡る。
『別れたい』
別れようじゃなくて。
『別れたい』
それって、俺が嫌だって言っても。
別れるってこと?
信用出来ないって。
辛いって。
思ってたなら、…もっと早く教えてくれないと。
もう、取り返しつかないだろ。
とか、言いながら…。
何で、ハッキリさせなかったんだろうって。
何で、抱けなかったんだろうって。
後悔してる俺の台詞じゃないか…。