ホットレモンの憂鬱
コートの裾を折り込み、俺の前にしゃがんだ真愛の顔がはっきりしない。
何でかわかんないけど、真愛の声を聞いてたら、涙が溢れて止まらなかった。
「…何で?泣いてるの?」
「…んなの、わかんないよ…。彼女に、会えたからかなー…。お前だって、泣いてるし…」
「…寒がりのくせに、…こんなとこで…。何…、してるの…?」
「大好きな、…彼女に会いたかったから…。出て来るの、待ってた…。真愛こそ…、早いじゃん…?」
「私は…。やっぱり…、つまらなくて…」
「ん…」
「大好きな、…彼氏に、謝ろうって。嫌いって…、言っちゃったこと…、許してもらおうと思って…。会いに行こうって…」
俺の冷たくなって感覚のない手が、暖かい柔らかい感触に包まれた。