ホットレモンの憂鬱

箱の中身、形が崩れないよう慎重に真愛の部屋の前まで来た…。のは、いいんだけど…。

耳を澄ませば…、扉の向こうから聞こえてくる笑い声。


…何だか悪い予感がする。


恐る恐る、チャイムを鳴らすと。


「はぁーいっ」

陽気な真愛の声がした。


ドアが開いた瞬間、予想が確信へと変わった。

やっぱり…。


「おかえりぃ!」

「遅せーよっ!」


何でお前らがいるか、敢えて聞かないでおこう…。


「…ただいま」

っても、自分んちじゃないけど。

不機嫌そうに吐き捨てる。


「ダイ、不機嫌そうだねー?」

と、にやけ顔で上島が見上げる。

「怖い、怖いっ」

わざとらしくビール片手に修も俺を見上げた。


…誰のせいだ、こらっ。


狭苦しいテーブルには何やら食い荒らした跡と、3人分のドリンクの缶。


「はぁーっ…」

吐き出した溜め息はやり場のない俺の思いがたっぷり詰められていた。


…せっかくのクリスマス・イヴにバイトを入れた俺が悪い。

だけど…、これはあんまりじゃないか?
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