ホットレモンの憂鬱
「ダイ、気が利くじゃーん」
「食おうぜっ」
2人で食べようと思っていたケーキが食われて行く様子を、ただ黙って眺めていた。
「大樹…、ごめんね?」
「別に、いいよ。どうせあいつらが押しかけて来たんだろ?」
とか言いながら、真愛のベッドに寝転んでふて寝する俺は、ダサいのかも知れない。
こういう時は、気にしてないよとか言って。
一緒に騒ぐくらいしたっていいんだろうけど…、そこまで俺の心は広くはない。
自分から雰囲気ぶち壊して…、どうすんだよ…。
「このケーキおいし~っ!」
「これって有名なとこのじゃねー?」
何か食わせろと騒ぐ腹に、暖かい部屋に渇く喉。
真愛と2人きり。初めてのクリスマスに、どうしてもこの状況に納得がいかない俺は。
…いつまでふて腐れていればいいかもわからない。
いつの間にかうたた寝してしまったらしく、気づいたら部屋はシーンッと静まり返っていた。