雅 - MIYABI - *さみ短2*
第3部
確か浴衣来て庭に散歩に出たはず
なのに、今私が身に付けているのは、紅く華やかな着物
これは夢なんだわ
「お目覚めの様ですね」
パニクってる私の前には
「紅…さん?」
「良かった、わたくしの事は覚えていて頂けた様ですね」
「あの、私…長いこと眠ってしまったのかしら? それとも、まだ夢の中なのかしら?」
「いえ。夢ではございません 時空を越えて参りましたので、時間が少しズレているだけでございます」
「時空?」
よく見るとさっきまでいた古びた建物は、まだ真新しい。
「はい、此処はわたくしの世界 つまり、1007年の京都でございます」
「せん…なな年?」
それで、建物がまだ新しいのね
って、感心してる場合じゃないよ
「はい、貴女は選ばれし者でございます」
私…時を越えてきた?
教科書に載ってる平安時代?
でも、紅なんて人いなかったわ
「…それって? どうして私が? 璃花は? 家族はどうなるの?」
「御家族やお友達の事は心配なさらなくても大丈夫ですよ。貴女は、少しの間だけこの国を守って頂きたく思います この梅の木によって選ばれし者です その腕につけられた輪が何よりの証拠でございます」
心配するなって言ったって…
それに
「国を守るって、私まだ17よ」
あと数日したら18だけど
「十分ですよ この国では12歳を越えているものであれば、皇室に女御として入館することができますので、年齢には問題ございません」
皇室?…女御?
頬っぺたを叩くが代わり映えしない風景
「元の世界に…帰られ…ますか?」
「帰られますよ きっと。」
「……。」
どうやら、選択肢はないようね
まぁ、帰れるのならいいっか
元々楽天主義の私は、あっさりこの状況を受け入れる事に
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