雪と涙とアナタと~CASE1~
今言葉を口にしたら、涙が出てくるような気がしてしょうがなかった

でも、それでも私はちゃんと彼にお別れの言葉を言わなくてはならない

じゃないと私はきっと、この檻の中に閉じ込められてしまう

一生抜ける事の出来ない、囚われの檻

だから私は別れの言葉を口に出していく


「先生、今までありがとね」


先生と出逢って約3年

私は国語の勉強が楽しかった

アナタに出逢えて本当に良かったと思っているの


「先生、ありがとう」


だからもう1度、心をこめたお礼を言う

そうすると、彼はゆっくり口を開くと「そう言えばいい忘れていたな」と言って私を見た


「卒業おめでとう」


私の先ほどの言葉を照れて流すように、彼は私にそう言った


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