雪と涙とアナタと~CASE1~
大きい彼の手の、タバコを持っていない方が私の髪に触れる

そこから灯る私の熱

頭のその部分だけ熱くなって、苦しくなる

そうなってしまうと、私の堪えていた涙は頬を伝って目から流れてしまっていた

先生はそれを見ると、私の頭に置いていた手を頬に移して指で涙を拭った


「あちゃー、生徒泣かせちゃった」


そう言って彼はタバコの火を消すと、私を優しく両手で包んだ


「今日だけ特別な」


そう言うと彼は、私の背と頭に手をまわして、頭の方にある手をポンポンとゆっくりとしたリズムで優しく叩いた

彼のスーツから香る香りは、先ほど吸っていたタバコの香り

その香りが少し苦くて、涙を流す私の鼻にツンときた


「泣きたいだけ泣きな。今日だけは俺のここ貸してやる」


そうやって、彼はずっと優しい言葉を私にかけた


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