雪と涙とアナタと~CASE1~
その口調は、お兄ちゃんというよりは、むしろお父さんみたいで私はプッと吹き出した


「先生うるさそうだから、紹介するのはちょっと引けるかも~」


そう言って私がニッと笑うと、彼は「寂しい事言うなよ~」と笑った

今が良い

今この状態で別れるのが1番自然で、1番良い想い出になる気がした

私は今、この瞬間


アナタから卒業します――――


「それじゃ、バイバイ」

「ん、またな」


彼は最後まで「さよなら」も「バイバイ」とも言わなかったけれど、私はこの建物の裏口にこの人への想いを置いて行った


「これでもう、私の卒業式は完了」


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