雪と涙とアナタと~CASE1~
「亜祐美!」
「美月!」


卒業式後のHRが終わって、私たちは同時に声をかけた

2人して驚いてから笑いあう


「『今日ちょっと用事あるから、先に帰って』」


次の一言もタイミングよくハモッてしまい、私たちはツボから抜け出せなくなった

一通り2人で笑い合ってから、私たちは教室を出た


「今日、美月に電話して良い?」

「うん、きっと私もしたくなるから」


美月が今から何をしようとしているのかは分からない

でもそれはきっと、私と同じ事の様な気がした

いつもより儚さが増した美月は、何だか触れてしまえば消えてしまいそうな感じだった

それでも私はその事について美月に触れようとは思わない

彼女も「電話したくなる」と言っているのだから、きっとすぐに分かる事

それなら、私は求められるまで彼女をそっとしておくことにした


< 6 / 19 >

この作品をシェア

pagetop