雪と涙とアナタと~CASE1~
寒い夜の暗闇に光る一点の光

塾の裏口で彼はタバコを吸っていた

近づいて行く時に聞こえる私の靴音に彼は顔をあげると、驚いたような顔をして私を見つめた

しかし私が誰なのか気がついた彼は、ニコリと笑うとタバコの火を消そうとした

それを静かに制すると、彼は私に「久しぶりだな」と言葉をかけた


「こんばんは」


私もそう挨拶して、彼の隣りに立って壁にもたれかかった

私よりも背の高い彼は、おしゃれして私がヒールのあるクツを履いても、まだ私より背が高かった


「今日は何しに来たわけ?」


言葉自体は棘のある感じだけれど、口調はあくまで優しさがにじみ出ているので、怖くはない言葉

きっと拒絶の言葉ではないのだろうと感じられる


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