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「悔しいですけど、あたしは先生を笑顔にする事は出来ません」


「ごめんね」


「謝らないで下さい。あたしの初恋……、綺麗なままにしておきたいんです。

実をいうと、告白じたいダメもとでした。だから、いいんです」


「うん、ありがとう」


いつから愛子ちゃんは嘘を付くようになったんだろう。


いいんです……そういってるのに、なんで君はそんなに悲しそうな眼をしてるんだい?


そんな俺の心配をよそに、愛子ちゃんはニッコリ笑った。



「あっ、そんな事より先生!!あたしこの前、数学のテストで90点取りました!」


「凄いな~」


「先生のおかげですよ」



愛子ちゃんは、告白する前のよう笑っているけど、その笑顔もどこか不自然で……。


その気持ちを無駄にしないようにと、今できる精一杯の笑顔をした。



それは久しぶりの笑顔で、なんだか不思議な気分になった。






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