雪と涙とアナタと~CASE2~
「んっ……」


暗闇の中で聴こえるのは、時計の針が進む音と、ベッドの軋む音

そして私たちの快感に溺れる時に漏れそうになる声を堪えた息づかい

ギシギシと軋むベッドのスプリングの音と、彼の指づかいに舌、そして彼自身に私は溺れて声を出しそうになる

しかしその声を本能のままに出す事は決してない

だって私たちはただのセフレだから

そして彼が抱くのは、私ではなく振られた前の彼女だから……

私たちがどうしてこんな関係に至ったのか?

私たちは元々家が隣同士の幼なじみだった

お互いの部屋の窓がちょうど向かい合った場所にあり、頑張ればそのままお互いのベランダからベランダへと移る事の出来る距離だった

そんな状況で育った私たちは、片方は近くで育ったその男の子に、片方は違う女の子に恋をした

そう私が恋をしたのは、幼なじみである彼、成山一哉

私が彼に想いを寄せていく間、彼は私とは違う女の子を見ていた

そんな彼は私の想いなんてつゆ知らず、「女の子はどういうものが好きなのか?」「どういう話をしたら良いだろうか?」と幼なじみの私を頼って、アドバイスを求めてきた


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