雪と涙とアナタと~CASE2~
その声をたどった先は、窓の外

少し頑張ればスッと入り込めてしまうベランダを持つ部屋の主の所からだった


「紗江……」


小さく呟いた彼の声が聞こえた気がした

見てはいけない

心の中で私自身が叫んでいるのに、私の体は言う事を聞かず開いたドアから吹き込む風に揺れるカーテンの方を見てしまった

そこに映るのは、彼と彼女の姿


胸に何かが刺さった気がした

何かが私の中で壊れていった気がした

何かが私の中で狂っていく気がした


それでも、まだこれだけなら私は引き返せたのかもしれない

何事もなかったかのように翌日も学校へ行けたし、亜祐美にも何も言われなかったのだから


< 7 / 30 >

この作品をシェア

pagetop