指先からの恋物語
「あたし 嫌だった
将来の話をするのが
将来なんて・・・未来なんて
誰にもわからないことなのに
みんな決まっているように話してる」
「うん」
「夢は何?って聞かれても
ずっと答えられなかった・・・
なんか あたしだけ
置いていかれてる気がしてた」
何も言わず ただ「うん」としか
言わずに黙ってあたしの話を聞いてくれてる
「あたし 本当は
みんなよりも遅れてるって
・・ずっと思ってた」
「そっか・・・」
初めてだった
あたしの悩みが
口から全て出たことが
誰かに聞いてもらえたことが
初めてだった