指先からの恋物語
あたしが話し終わると
多田は静かに口を開いた
「別に遅れてなんかねぇよ」
「え?」
「誰だって先のことはわからない
夢を持つことは絶対ではないんだぜ?
遅れてなんかない
それが葵なんだから」
「これが あたし・・・」
「そう
誰にだってペースがある
みんながみんな同じじゃない
だから この世の中って面白いんだぜ?
遅くていいんだよ
たくさん遠回りして 本当の未来を
見つけていくんじゃね?」
「本当の・・未来・・・」
すると多田は手をあたしの頭の上に置いた
そして クシャクシャってしたんだ
「ちょっ何すんだよ」
「たく・・・
何を悩んでるのかと思えば・・・
いいか?一人ひとり違うんだ
絶対に自分だけってのは無いんだからな」
「・・・うん」
すると ニコって笑って
さらに クシャクシャってした
「よし!わかればよろしい!!」
「ぷっ
あたしはガキかよ」
「充分ガキだよ♪」
「「アハハッ」」