指先からの恋物語



羽音は壁にもたれ 腕を組んだ


そして 話し出した




「あたしはね 今までずっと
 優真に近づく女を懲らしめてきたの
 
 優真には あたしがいるから
 あたし以外の女はいらないもの」


「・・・いつから?」


「あたしと別れてからよ
 まったく 優真ってば
 あたしみたいないい女がいるのに
 別れちゃうんだもん

 ちょっとは反省してくれた?」





ドカッ!!


ん?


今のは俺じゃねぇぞ?





隣を見ると 壁に拳をぶつけてる怜


その硬い拳からはつーっと赤い血が流れてきていた





「・・・最低だな」


「最低?
 あたしはいい女
 それに気づかない優真が悪いんじゃない」





俺が悪い?

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