指先からの恋物語





だって あたしには




《夢》なんて無いから…






「ねぇ 聞いてる?」


「ん− 聞いてる」


「あたしの夢はねぇ
やっぱり 幼稚園の先生だなぁ♪
葵は?」


「あたしは…」






そう いつもここで止まってしまう


あたしは…の続きがいつも出てこないんだ





「……内緒かな?」




やっとの思いで出てきた答えは

なんとも情けなくて…



まるで 将来から逃げているみたい…




「なによそれぇ〜
まぁ いつか教えてよねぇ☆」


「うん
いつか…ね」






その後 あたし達はその時間のチャイムが鳴るまで 語り尽くした










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