旦那様は高校教師
一体、誰!?
恐くて声が出ない。
私は固く目をつぶり、咄嗟に次郎を抱き締めた。
「こんばんは、南条ほたるさん…だよね?」
えっ!?
どうして私の名前を知ってるの!?
恐る恐る顔を上げると、目の前にはラフな格好をした星野先生が立っていた。
スーツ姿とは雰囲気が違い、一瞬だけ私の鼓動がドキンッと高鳴る。
な…何!?此の感覚…。
初めて経験する高鳴りに戸惑いながら、私は先生を見つめていた。
「ごめん、驚かせたみたいだね…。此の犬、名前は何て言うの?」
先生は無邪気な顔で謝ると、私の隣に腰を下ろす。
「…次郎…です」
「そうかぁ。お前は次郎って言うのか」
先生は目を細め、次郎の頭や体を撫でた。