旦那様は高校教師


んっ……ん…。



「〇÷☆□△※···」



誰かの話し声が耳に届く。



「由美の両親、離婚しちゃうの?」



「うん…お父さんと暮らすかお母さんと暮らすか、私が決めなきゃいけないの…」



何だか聞いてはいけない会話みたい。



でも、聞こえない振りをしたくても、嫌でも聞こえる。



話をしている人は、カーテンが閉まってるから、私が起きている事に気付かない。



なるべく聞かない様にしよう。



私は布団を被り、再び目を閉じた。



でも、カーテンの向こうの声はどうしたって届いて来る。



「私にとって、お父さんもお母さんも大切だから決められないよぉ…」



由美さんと思われる人の声が泣いていた。



大切な人を選ぶなんて難しいよね。



私には両親が居ないから、由美さんの痛みや苦しみが分からない。



もし同じ事を祐奈か詩織に相談されたら、私は何とアドバイスするだろう。



どうしても聞こえてくる話しに、聞き入ってしまった。





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