旦那様は高校教師


「由美?どうしてもどちらか選ばないといけないのなら、どちらとなら壁を乗り越えていけるか考えてみたら?」



壁を…乗り越える?



「良く分かんないんだけど…」



私と同じ疑問を、由美さんが投げ掛ける。



「つまり…お父さんを選んでもお母さんを選んでも、楽しい事ばかりじゃないと思うんだ…」



あっ、そうだよね。



今までの生活が変わっちゃうもん。



笑ってばかりいられないよね。



「悲しい事·辛い事·苦しい事·大変な事だってあると思う…」



うんうん。



離婚に限らず、日常生活でも其れはある。



「其の時、この人とだったら一緒に苦労しても良い。この人の為に自分も頑張ろう!って思える人がどっちか考えてみたらどうかな?」



!?この人、今凄く良い事言わなかった!?



誰だか分からないけど、私の胸にストンッと収まるものがあった。



悩んでも進展しなかった答えの糸口が、漸く見えてきた気がする。



私は今ここに、偶然居合わせた奇跡に感謝した。





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