旦那様は高校教師
第5章 夏休み
入籍
プロポーズの返事をしてから、一夜明けた7月20日の朝。
婚姻届を持って、先生が家へ来てくれた。
「まぁ先生♪さぁさぁ上がって♪」
昨日からずっと伯母さんは上機嫌。
私が居なくなる事が余程嬉しいんだね…。
先生をお座敷へ通すと、テーブルの上に婚姻届が置かれる。
此れが婚姻届?
こんな薄い紙1枚で結婚成立なんて、なんだか寂しいね…。
「此処にほたるの名前と住所を書いて・・・・・」
先生に教えて貰いながら、伯母さんの目の前で婚姻届に記入するものの、緊張で文字が震える。
「大丈夫?落ち着いて…」
緊張の糸を解すように、先生がそっと私の腰に腕を回す。
すると不思議な事に、スーッと気持ちが落ち着き、どうにか捺印まで押す事が出来た。
「其れでは今から役所に提出して、証明書を貰って来ます」
先生がゆっくり席を立つと、突然伯母さんが引き留める。
「ちょっと待って!」
えっ!?
その言葉に私も先生も、動きが止まった。