旦那様は高校教師
「先生…」
私は先生の腕の中で泣いた。
「辛いよな…。ごめんな…」
先生の低い声が、私の体へ振動しながら伝わって来る。
先生?謝るのは私の方だよ?
私が泣き虫だからいけないの…。
今日から先生の奥さんになったんだもん。
もっと強くならなくちゃね。
先生は私の背中をトントンする。
其のリズムが懐かしい気持ちにさせ、落ち着きを取り戻す。
私はもう一度次郎を見た。
尻尾を振り、跳び跳ねるように私を見返す。
其の姿が、何だか『行ってらっしゃい』と言ってくれているようだった。