旦那様は高校教師
「あの時、辛くて苦しい日々を過ごしたのは、此の為だったのかって思える時が必ず来る!君は1人じゃないよ?」
先生の手に力が籠る。
君は1人じゃない…。
そんな事を言ってくれた人は、今まで誰1人として居ない。
ある程度の事情を知っていた中学の先生は『大変だろうけど頑張れよ』としか言ってくれなかった。
私は一体、何を頑張れば良いの?
其の答えが今も分からないし、誰も教えてくれない。
だから『頑張れ』の言葉は私には凄く重い。
もがき苦しんでいても、手を差し伸べてくれた人も居なかった。
けど星野先生は、違う。
生まれて初めて、私に希望の光を与えてくれた。
『先生、有り難う。先生の言葉が凄く嬉しいです』
そう伝えたいのに、とめどなく涙が溢れ言葉が発せない。
「よしよし…」
先生の大きくて暖かい手が、いつまで経っても泣き止まない私の頭を優しく撫で続けた。