旦那様は高校教師
好きな人に朝ごはん作って貰うなんて、何か良いもんだな!?
俺、こんなに幸せな朝は初めてだよ。
楽しそうにパンを焼き、コトコトとコーヒーの準備をするほたるに、つい見惚れてしまう。
気が付くと、俺はほたるを後ろから抱き締めていた。
「起きたらほたるが居ないから心配した…」
俺らしくない子供っぽい言葉が口を付く。
「ごめんなさい…」
ほたるは俯き、声に力がなくなる。
ごめん…そんな声を出させたかった訳じゃないだ。
俺はほたるを自分の方へ向かせ、さっきよりも強く抱き締めた。
小さくて細い体が消えてしまいそうで、抱き締めていないと不安になる。
「心ちゃん、もうすぐパンが焼けるよ?」
無邪気な声が胸へ伝わる。
「分かってる。でももう少し此のまま…」
俺はパンが焼き上がるまで、ほたるを独占した。