旦那様は高校教師


「仕事は、此れから少しずつ覚えていけば良い。今日の事は気にするな!!」



俺はほたるの頭を撫でた。



もっと気が利いた事が言えないのか!



こんなセリフ、励ましにも何にもなんないぞ!?



心の中で自分で自分にツッコミを入れながら、次の言葉を探す。



「ほたる、今日は白木さん凄く助かったはずだよ?」



ほたるにそう言いながら、俺は1年前を振り返る。



去年も売店のメンバーは白木さん·村瀬·戸川の3人トリオ。



午前中は1人で開店準備を行い、午後の出勤者が来るまで数多くの仕事をこなしていた。



其の為、予約の状況によっては他部署から手伝いを派遣していた。



俺も其の中の1人なんだが…やはり今日のほたると同様、袋詰めしか出来なかった。



罵倒は飛んで来なかったけど、イライラしたお客様の殺気を感じた事はある。



申し訳ないと思いながらも、自分の無力さを痛感した。



だが一段落して、白木さんが見せた笑顔と些細な言葉が印象に残っている。





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