旦那様は高校教師
「いただきます」
3人で合掌した後、私はパンの袋に手を掛けた。
「南条!!其のパンと此れ交換してくれない?」
コンビニの袋を手にした先生が私のパンを取り上げる。
えっ?先生、其れ私のお昼ご飯!!
突然の出来事に、現状が上手く飲み込めない。
「今日は少し体調が悪くて余り食欲がないんだ。コンビニ弁当なんだけどさ、捨てるのも勿体無いないし…悪いな」
「あっ……」
私が返事をする前に先生は机の上にお弁当を置き、取り上げたパンを持って教壇で食べ始める。
ポンと机に置かれたコンビニのお弁当。
………。
もしかして物々交換してくれたの?
先生、体調が悪いって言ってたけどそんな風には見えないよ?
私が今、どんな暮らしをしているか話したから、手を差し伸べてくれたの?
『先生有り難う』
私はお礼の気持ちを込め、もう一度手を合わせた。