旦那様は高校教師
第2章 春(5月)

友達



高校生活にも慣れ、祐奈と詩織ともすっかり仲良くなった。



「見て見て、今日は新発売のお菓子を買って来たよ~」



「私はコレ♪皆で食べよう」



昼食の時間、祐奈と詩織が楽しそうにお菓子を広げる。



あっ…今、私だけ此の輪の中に入れてない。



取り残された様な、仲間外れにされ様な複雑な気分。



皆の様にお菓子の交換や食べ合いっこが出来ないから、そう感じるの?



どんよりした気持ちが心を締め、気分が一気に塞ぎ混む。



「南条、此れ皆で食べな」



先生は私の机にお菓子の袋を置き、教室を去って行く。



「あ…有り難うございます」



明るくお礼を言ったものの、内心は凄く複雑だった。



だってチクチク刺さるクラスメイトの視線が痛くて、あの頃を思い出すの…。



でも数日経つ頃には、そんな事ちっとも気にならなくなった。



「山田!此れと其れ交換しないか?」



「佐藤、此れ皆で食べな」



私に向けられる痛い視線に気付いた先生は、他の生徒とも物々交換等をして平等に接してくれた。



其のお陰か、今は皆の視線を感じない。



「もしかしてさぁ、星野先生ってほたるの事を好きなんじゃない?」



私と先生のやり取りを見て、たまに祐奈と詩織がからかう。



2人共、其れは絶対にないよ。



ただ先生は、先生としての勤めを果たしているだけ。



祐奈も詩織も私の事情を知らないから、そう思うだけだよ。





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