旦那様は高校教師


「俺…心矢さんが相手でも負けませんよ?」



保の顔が真剣なものへと変わっている。



保にとって俺はライバルだ!!



悪いけど、ほたるは絶対に渡さないよ?



此れから先、何があっても一生を共に歩む大切な妻だ。



頼むから、此のまま諦めてくれ…。



「遅くなると南条の家族が心配する…そろそろ帰るか」



敢えて保の言葉には何も触れず、俺は帰るよう促す。



明日も仕事があるし、また歩くとほたるの足にも負担がかかる。



俺は此のまま帰る方が賢明だと判断した。



「えーっ!?俺ほたるちゃんとまだ一緒に回ってない!!」



保はベンチから立ち上がり、ほたるの手を取ろうとする。



「保ちゃん、無理言わないの!南条さん下駄磨れしてるんだから!!」



村瀬はほたるの前に割って入り、保を阻止する。



「う゛…ん…。分かったよ…」



保は納得のいかない顔をしていたが、どうにか帰る気になってくれた。



さすが村瀬!頼りになる!!



あの時、村瀬に打ち明けて本当に良かったよ。





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