旦那様は高校教師
「俺、電話に出ない方が良かったかな…」
「そんな事ないよ。心ちゃんが電話に出てくれたから、詩織に大事な人が居るって言えたもん…」
俺の手を握るほたるの手が、少し震えていた。
加賀に伝えたと言う事は、ほたるが嫌がっていた『恋多き人』と思われる可能性がある。
本当に良かったのか?
怖くないか?
ごめんな…俺のせいで辛い思いさせてるな…。
俺はほたるの手を握り返した。
「心ちゃんには嫌な思いをさせちゃったけど…紹介したい人がいるって言われた事も話せて良かった…」
ほたるは肩を落とし下を向く。
確かに栗山の件にはムッとした。
だが栗山も加賀も西野も、俺達の事を知らない。
皆、ほたるを思って言った事。
俺に人を責める権利も、ヤキモチを妬く資格さえもない。