旦那様は高校教師
「詩織に可哀想って言われたけど、2人とも友達だからって…私の為に泣いてた…嬉しかった…」
頬を伝って涙が流れる。
「南条は泣き虫だな」
先生は両手で私の顔を包み、頬を伝う涙を優しく拭う。
其れからフワッとした柔らかい微笑みを向け、今度は抱き締める様に私の頭をそっと撫でる。
せ…先生!?
予期せぬ行動に涙は止まったけど、私の鼓動は急上昇。
ドキドキ·ドッキンドッキン·ドクドク…。
全て当てはまらない私の鼓動。
敢えて言葉にするならばドドドドーーーッと全力疾走しているみたいに速い。
呼吸するのさえ苦しくなる位、まだまだ加速は続く。
先生、助けて!!
もう息が出来なくなる!
「あっ…ごめん…」
先生の手が離れると夜空を見る振りをして、私は思い切り空気を吸い込んだ。
ハァーッやっと呼吸が出来る。
あっ……。
気持ちが落ち着き、フッと思う。
先生は真っ暗だった私の心に、少しずつ明かりを灯してくれる。
もしかしたら本当に、星の王子様なのかも知れないと…。