旦那様は高校教師
「そんな怖い顔してたらお客さん逃げちゃうよ?」
隣でお茶の用意をしていた祐奈が、私の顔を覗き込む。
「アハハッ、ごめん…」
笑い返してみたものの、今は明るく振る舞える余裕がない。
「そう言えばさぁ…今日ほたるの彼氏は来ないの?」
えっ!?な…何を突然言い出すの!?
「…来ない…と思う。忙しい人だから…」
本当は同じ会場に居るんだよ?
そう言えなくて、嘘付いてごめんね。
「残念…会って見たかったなぁ~」
祐奈は空を見上げる。
「ほたる…聞いても良い?先生と彼氏…本当はどっちが好きなの?…私はハッキリ決めた方が良いと思うけど…」
溜め息混じりの息を吐き、祐奈の視線が心ちゃんへ向く。
グサリと言葉のナイフが突き刺ささり、抉り取られる様に心が痛い。
苦しいよ…。