旦那様は高校教師
私、何か困らせるような事した?
戸惑いながら言葉を待っていると、先生は1歩私に近付き、名前札へと視線を移す。
「…南条さん。でしたね」
名前を確認すると、先生はニッコリ微笑み掛ける。
すると不思議な事に、其の笑顔につられ、私の顔からも笑みが漏れる。
「はい、南条ほたるです」
そう答えると、先生は私の目を真っ直ぐ見据えて話を続けた。
「今日、保護者の方は一緒じゃないの?」
あっ……。
私が一番触れて欲しくない話題。
「は…はい…。1人です……」
返事をする声が、段々小さくなる。