旦那様は高校教師
受話器の向こうから聞こえる呼び出し音を聞きながら、フッと思う。
何故これ程までにも南条が気になるのか…。
今までの生徒には無かった別の感情が、間違いなく俺の中に存在している。
其れは隠しようのない事実だ。
俺はいつから、南条の事が気になるようになったのか思い起こす。
初めて出会ったのは去年の夏。
あの公園だ!
ブランコに座り、泣いていた姿がとても印象に残っている。
何だか彼女の事が気になって、いつしか公園の前を通るのがジョギングコースになっていた。
もしかしたらあの時から、南条に特別な感情が生まれたのかも知れない。
俺がもし教師でなかったら…。
担任でなかったら…。
俺の中にある感情が、恋だと認める事が出来るだろう。
しかし今は、それを受け入れる事は出来ない。
嫌、受け入れてはいけない。
南条の事は恋愛感情ではなく、1人の生徒として心配なだけだ!
何があっても、好きだと認めてはいけない!!
空き時間の間、自問自答が続いた。