旦那様は高校教師
第10章 冬 (1月)
新年
「心ちゃん、キッチンのお掃除は私がするね」
風邪もすっかり治り、今は大掃除の真っ最中。
「ほたるはゆっくりしてて良いよ。俺がする」
お風呂場から飛び出して来た心ちゃんは、キッチンに立った私を炬燵の部屋へと連れて行く。
「もう熱も下がったし、私は大丈夫だよ?」
「ダ~メ!振り返したらどうするんだ?」
心ちゃんの心配性は相変わらずで、私は何もさせて貰えないまま大晦日を迎えていた。
あっ!!そう言えば私、大事な事を忘れてない?
風邪を引いて寝込む前、心ちゃんと何かを約束した。
あの時は頭がボーッとしてて、何を約束したのかハッキリ覚えてない。
えーっと…えーっと…。
そうだ!!クリスマス!!
1週間前、本当は2人でクリスマスイヴを過ごすはずだった。
だけど雪子さんの突然の訪問で、プレゼントも渡せず仕舞い。
1週間遅れになるけど、どうしても年内に渡したいなぁ。
気に入って貰えるか分からないけど、一生懸命心を込めて編んだんだもん。
気持ちだけでも伝えたいじゃない?